誰かの演奏に感想を伝える
私は誰かの演奏を聴いた時に、具体的に感想を伝えるようにしています。
今回はそれについて書いていきたいと思います。
本題に入る前に、少し例を述べます。
たとえば「◯◯のギターソロは感情がこもってない」とかいう議論がYouTubeのコメント欄等で散見されますが、私はこの言葉にずっと違和感を感じていました。
「え、なんで感情がこもってないって言い切れるの?」って思ってしまうのです。
畳み掛けるような16分の速弾きをすれば、進行と共にビルドアップするフレーズを弾けば、ニュアンスを多用すれば、「感情がこもってる」と認めてもらえるのでしょうか。
おそらく上記の正しい言い方は「感情があまり伝わってこない」だと思います。
そもそも感情がこもってるかどうかは奏者にしか分かり得ませんので「感情がこもってない」という感想はおかしい。
スーパーで売ってる試食のウインナーを食べて「このウインナー、愛情込めて焼いてないでしょ」と売り子のお姉さんに言ってるのと同じレベル。
それでは本題に入ります。
私が具体的に感想を伝えるようにしている理由は2つあります。
1つは相手のため。
演奏後に「上手いね!」と言われたら奏者はもちろん嬉しいですが、せっかくのフィードバックの機会がそこで終わってしまいます。
聴く側が感じたことを適切に言葉にして伝えることで、奏者は「自分の演奏はこう感じてもらえるんだ」と参考になります。
自分が奏者なら、しっかりとした感想をいただけたら非常に嬉しいです。
もう1つは自分のため。
「上手いね!」で終わってしまえば、上手いか下手かで自分の感性が完結してしまいます。
ですが、感じたことを言葉にする作業をすれば自ずと「この人の何がこんなに良かったんだろう」と考えられます。
タッチが良いのか、曲に対するタイム感が良いのか、音色が心地良いのか。
その作業を繰り返すことで、聴く能力が育っていく気がするのです。
ただ言葉にするのってすごく難しいです。つい「すごい!」とかを使ってしまう。
(本当にすごいと思ったのならそれで良いとも思うんですが笑)
この方法を実践しはじめた当初は、大げさに表現してしまうこともありました。
でもそれだとダメで、あくまで「自分の感じた事を最適な言葉にして伝える」ことが重要だと考えています。
「あなたの演奏、いまいちだったよ」という感想を伝えることは否定しません。むしろ奏者にとってプラスになることが多いでしょう。
ただその際に「下手」だとか「感情がこもってない」等の定型句を使うのはもったいない、というのが私の考えです。
これからも具体的に感想を伝えられる様、日々感性を磨いていきたいです。